アデレード出身でシドニー育ちの私のパートナーは、どこから見ても立派なオーストラリア人。
付き合い始めの頃は、私が(というか日本人が?) 思いつかないような信じられない事をしでかすので、よく喧嘩になってました。
ある人の言葉がいつも頭によぎります。
“オーストラリア人と日本人が上手く付き合っていくには、どっちかが相手の国寄りに妥協しないといけない。”
これには納得。本当に彼と私は根本的な考え方が違いすぎて…。
彼も私も譲れない頑固な所が多々あり、たくさんの戦いを経て来ましたが、10年も一緒に過ごしているとだいたい相手の反応や扱いのコツが分かって来ます。
結果的にどっちかと言うと私がオージー化した形ですかね…。
彼も、私が怒っている時に鎮めるコツを心得て来て、お見事です。助かる(笑)
だから最近では昔ほどの大喧嘩はありません。
今までに忘れられない喧嘩がいくつかありますが、ある年のバレンタインデーのエピソードは忘れられません。
仕事になってしまったバレンタインデー
あれは今から6年ほど前の2012年、まだ私がレストランのウェイトレスとして週6働いていた頃でした。
週2日は半休をもらえて4時頃には家に帰れましたが、飲食業ってランチタイムとディナータイムの間に数時間の休憩が入って朝から晩まで長い時は約12時間以上拘束される仕事なんですよね〜。
そんな毎日の中、この年もバレンタインデーが近づいて来ました。
毎年バレンタインデーにはパートナーとささやかなお祝いをしているので、その日半休をもらいたかったのですが、他のスタッフが先に休み希望を提出したので私は仕事をしなくてはいけなくなりました。
でも、これは早い者勝ちだから仕方ない。
誰かが休めば誰かが働かないとスタッフが足りませんから。
まあ、今年くらいは別にいっか、と気持ちを切り替えました。
「ごめんね〜!私、バレンタインデーの日、仕事になっちゃった。」
「えー、そうかあ…。」
予想以上にガッカリ気味のパートナーがちょっとかわいそうだったので、バレンタインデーの夜にひとりで寂しくないように、心を込めてご飯を作りました。
この頃の私は、出勤の前にパートナーのお弁当と夕食を作ってから出掛けていたんです。会社で食べる用のおやつまで付けてました。(ようやったわ。)
lホワイトチョコレートパンナコッタとかも
「今日は私がいなくても寂しくないように、おいしい夕食を用意したからね!あとバレンタインデーのケーキを予約してあるから、私の代わりにピックアップだけお願いね!」
「うん、分かった。仕事頑張ってね。」
そして私はいつも通り出勤して行ったのです。
当時、日本食レストランAzuma のカフェがシティ中心部にあって(今はアイズグループのChanoma Cafe になってます)、シドニーで唯一シフォンケーキが食べれるのがウリのカフェだったのですが、バレンタインになると毎年限定ケーキを販売していたんです。
これがかわいくておいしいので、バレンタインデーのお気に入りでした。
やっぱり限定ってワクワクしますよね!
ちなみに前年の2011年のバレンタインデーケーキはこんな↓感じ。
2011
パートナーは記念日を大切にするロマンチストですが、私は記念日というかイベント事が大好きなんです。限定発売とか本当に好きです。
この年ももちろん限定ケーキを予約したのですが、私は一日中仕事でピックアップ出来ないのでパートナーにお願いしました。
今思えば、これが間違いのもとでしたね。
予測出来なかった彼の行動
バレンタインディナーがオープンすると店内はすぐに忙しくなりました。
この日のメニューはバレンタインデーの特別コースのみになり、店内は次々と来店するカップルたちで埋まっていき、ロマンチックな空間が演出されます。
私は基本的にバタバタと走り回るような忙しいカジュアルセクション担当だったので、フォーマルなコースメニューにあまり慣れていなく、足でまといにならないように、しっかり先輩方のサポートしなきゃ!とちょっとピリピリもしてたと思います。私、仕事に関しては結構完璧主義なんです。
順調に料理や飲み物を出したりして忙しくしていたそんな時…、
「Eriちゃーん!外で彼氏が待ってるよー!?」と上司の声。
はあ!?この忙しい時に何の用?
合間をぬってお店の受付の方へ行くと、パートナーがお店の受付の所でお店の社長と盛り上がってました。
うちのパートナーと社長はゴルフ好きで、ある日ゴルフの話題で意気投合、たまに一緒にゴルフをする仲だったんです。
彼らの近くに行ってしばらく待っていましたが、私を無視して花が咲いている話は終わる気配はなし。
時間がもったいないので仕事に戻りました。忙しいのに人を呼んでおいて一体何なんだ。
「Eriちゃん、また彼呼んでるよ?さっきからずっと待ってるから、ちょっと行ってあげて。」
「あー、今忙しいので行けないと言ってもらえませんか?」
「それがね、ちょっとだけで良いから話したいんだって。多分行かないとずっといると思うよ?」
「…💢」
仕方ないので行きました。
「何?今とっても忙しんだけど!?」
「いやね、これを今どうしても見せたくて。」
にこにこしながら手に持っていた袋を見せてくる彼。
中には私がずっと欲しいと言っていたiPod Touch が入っているのは分かりましたが、何故、今!?
このカバーのチョイスが彼っぽい
「とってもありがとう!すごく嬉しいんだけど、でもこれ、今じゃなくて後でにして?今ね、ゆっくり話してる暇ないんだ。」
「えっ、特別な日にほんの1分でもオレに時間をくれる事も出来ないのかい?」
「仕事中はないんだよ!じゃあ、もう行くね!忙しいから。」
オーストラリアでは、バレンタインに奥さんの職場にバラの花束を送ってサプライズする旦那さんとかもいるらしくて微笑ましい話ですが、それは状況や場所を考えて欲しい、と日本人の私は思うのでした…。
つーか、忙しい時間帯にそんな用事でわざわざ呼び出すんじゃねーよ!…と思うんですが、どうですか?日本人のみなさん。(構ってあげれないからわざわざ心を込めて夕食まで作ったのに…^^;)
全く通じてなかった私の気持ち
営業が終わり、11時頃に家に帰って来た私は、冷蔵庫を開けてびっくり!?
「えーっ!なんで今朝作った夕食がここに残っているの!?」
朝彼の為にと心を込めて作った料理は、全く手付かずのまま冷蔵庫に入ってました。
「いや、実はね、Eriのレストランに寄った後、途中にあるKFC(ケンタッキーフライドチキン)がどうしても食べたくなってね。誘惑に勝てなくて買っちゃったんだ。もうお腹いっぱいだから、Eriの料理は明日食べるよ。」
はあ???
私の想いが全く伝わってないー!
しかも、来なくて良かった私の職場に来たせいでジャンクフードを買って、私が朝早く起きて用意した特別なご飯が食べれないだとー!?
「で、ケーキは? ちゃんと取りに行ってくれたんでしょ?」
「もちろん!当たり前じゃないか。」
ケーキを確認してみると、ケーキが偏って箱にちょっとくっついるではないですか。
「あのさ〜、ケーキをちゃんと水平に持たなかったでしょ?大切なケーキの形が壊れてるよ!」
「えー? こんなケーキを普段買わないから知らなかった。」
子供かよ!そんなん考えたら分かるだろ!!当たり前と思ってたから、知らないなんて気付きもしなかったよ!
そりゃね〜、こっちのケーキ屋さんは時々紙袋にケーキをグシャッと入れてきれいなデコレーションを台無しにしたりしますけどね…。
東村アキコの漫画に登場するお父さんは、クリスマスケーキを自転車のカゴに横にいれてグシャグシャにしたらしいですが(しかも実話らしい)、そこまでではないとしても残念過ぎる…。
©︎東村アキコ 『ひまわりっ〜健一レジェンド〜』
カップルが愛を語る日が、大喧嘩の日になりました…(−_−;)
まあケーキは何とか修復。おいしかったですよ。
2012
オーストラリア人の彼の行動は「そう来たか!」と日本人には予測がつかない事も多いので、そこが戸惑いポイントですね。
こんな事を乗り越えながら、今年でバレンタインも10回目です。
2013
今年のバレンタインデー
「Eri!大変だ!2月14日の夜にテレビで “Picnic at Hanging Rock” やるから観なきゃ!」
“ピクニックアットハンギングロック” というのはビクトリア州にあるハンギングロックを舞台に70年代に作られたミステリー映画で、ピクニックに出掛けた生徒と教師が行方不明になるという話。
数年前の旅行中、たまたまハンギングロックに行ってその映画の話をしてたんです。
バレンタインデーの夜に怖い映画かあ。まあ、別に良いけどね。
そんなこんなで、たくさんの喧嘩を乗り越えてやっとお互いが分かって来て、とりあえず2人はまだそれなりに上手くやってます(笑)