今日、ツイッターでシドニー在住のフォロワーさんが「最近は世界名作系の児童文学書も萌え系アニメ風の挿絵になっていて違和感がある」的なことを呟いていて、共感を覚えました。
それについては、私も色々と思うこともあって面白かったので、私が考えたことをここにまとめておきたいと思います。
ジェネレーションギャップ?
そのフォロワーさん、実際にお会いしたことはありませんが、おそらく私と同世代の40代くらい、つまり70〜80年代生まれだと思います。これくらいの年代の女性だと同じことを感じる人は多いのではないでしょうか。(男性はどうなんだろう?)
特に海外に在住していると普段は日本の雰囲気にあまり触れていないので、パッと日本の変わりゆく文化(?)を見ると尚更、変な感じを覚えやすいのではないでしょうか。
私が住むシドニーには紀伊國屋書店があるので私も日本の本も生で見る機会もありますが、初めて萌え系キャラクターが採用されている絵本を見た時は、やっぱり「何これ⁉︎ 何でもかんでも萌え化するなよ」と不快に思いました。
そもそも、オタクという言葉は私が中高生くらいの頃に使われ出したと記憶してるんですが、幼児殺害事件の犯人がオタクだったというイメージもあって、オタクという言葉にはとてもネガティブなイメージがあったんですよ。(多分、今はどっちかというと褒め言葉?)
だからオタクが好きそうな絵柄を見ると、条件反射で嫌悪感を感じるというのもあるのかもしれません。
ただ、それで終わってしまったら、よく「最近の若いものは!」と嘆いている年寄りと同じになってしまいかねないですよね。
ピラミッドか何かの古い遺跡にも「最近の若いものは」という落書きが残っているなんている話もあるので、ある程度歳を取ればこういう感覚を味わうのも当たり前のことというか、大昔から繰り返されてきたことなんだと思います。
私自身この歳になって時々感じるんですが、人間って自分がバリバリやってた時代が常識の基準になってしまってる傾向があるんですよ。そして、歳を重ねるごとに時間の経過が早く感じるようになるので、10年前のこともつい最近のように思ってしまう。でも実際はもう世代が交代してきていて、色んなものが変わっていっているわけです。
それに気づかないまま価値観を押し付けるのが老害と呼ばれる行為なのかなあ、と思ったりして。
私も親から時代遅れの価値観を押し付けられて苦しい思いをした経験があるので、気をつけないとなーと思ってます。
ということで、ちょっと時代を遡って考えてみます。
一世代前に違和感を感じるのは宿命⁉︎
時代を遡ってみれば、私が生まれる前の漫画黎明期には、漫画自体が有害と言われて攻撃を受け、焼かれた時代があったわけです。
よく思い出してみると、私の子供の頃は萌えという言葉はまだ存在してなかったものの、漫画チックな挿絵の児童文学書は普通にありました。そしてそれは子供に人気でしたし、私も好きだったなあ、と。
それに関して私の周りの大人が何か言っているのを聞いた記憶はありませんが、きっと眉を顰めていた人もいたのではないかと推測します。私たちが楽しく観ていた漫画やアニメも多分同じでしょう。
それを踏まえて考えると、私は萌え系と呼ばれるような絵は苦手ですが、それが周りにあるのが当たり前で育っている今の子達には違和感はないのかもしれません。
私がよく観ていたテレビアニメの「世界名作劇場」も、かなりおとなしめの真面目なキャラクターデザインが多かったですが、あれも当時の大人から見るとかなりアニメアニメしてたんじゃないでしょうか。
世界名作劇場で思い出しましたが、2007年に公開されたてレビアニメ「レ・ミゼラブル 少女コゼット」も萌え系の絵が使われたとして話題になったそうですが、私としてはかなり違和感を感じましたし、嫌だなあと思いました。フランス人がこんな顔してるわけないじゃん!とか色々思ったものです。
でもまあ、観てるうちに慣れるんですよね。
このテレビアニメが公開された頃には私はもうすでにオーストラリアでしたが、たまたま観る機会があって。で、だんだん絵にも違和感を感じなくなって来て普通に面白いなと思いました。
よく考えたら漫画本とかもそうですよね。絵が受け付けないと思っても、内容が面白ければいつの間にか引き込まれてる…。
そう言えば、小学校の頃に学級文庫にこの物語の原作本があったんですよ、『ああ無情』というタイトルで児童文学用で。
でも難しいし暗いし、たまにある挿絵も写実的で面白くなくて、途中で読むのをやめてしまいました。だから、あれがもし親しみがある挿絵だったら、もしかしたら最後まで読み終えることが出来たのかもしれないな、とは思います。今となっては分かりませんが。
とりあえず、子供にとっては魅力的な絵で「読んでみたい!」と思わせることも大切なのかなと思います。そうやって考えると、萌え系の絵もありなのかな?と思えてきました。
成長していく過程で多くの人はファンタジーから抜け出してリアルな現実に直面していくはずなので、現実には存在しない三次元にハマる世捨て人という昔のアニメオタク的偏見のイメージは持たなくても良いのかな、と。
それって、ちょうどサンタクロースを信じるのと似ているかもしれません。
私の家はサンタクロースを最初から信じさえてもらえなかったもので、だから変なところが現実主義なのかも…と時々考えます。
初めからファンタジーに振り切ってくれてばそのつもりで物語に入れるんですけど、中途半端に絵だけファンタジーだと「本当の人間はこんなんじゃないでしょ」とか色々と細かいディテールが気になってしまうんです…。面倒臭い性格ですよね。
ちなみに短大で幼児教育の勉強をしていた時、小さい頃にサンタクロースを信じることがいかに大切かということを書いた『サンタクロースの部屋』を授業で紹介されたのですが、ちょっとショックでした (笑)
余談ですが、今思うとなぜあれが良かったのか理解できないんですが、子供の頃はやたらと目がキラキラしていたお姫様の絵に憧れてましたし、周りの女の子たちも同じでした。
まあ、その年代年代で大切なものは変わりますし、歳を取れば好みや考え方も色々変わってくるものですよ。
だから、今この瞬間を楽しまないと、気がついた時には違う自分になってるのかもしれませんよ?笑
おわりに
新しい文化や習慣は常に生まれていて、変化していくものです。
ある程度の年齢を超えてしまうとついていくのは大変ですし、理解し難いゆえに反感を感じてしまうこともあると思います。
ただ、若い世代を批判ばかりしてても仕方ないですし、お互い知らないことを学び合えるくらいのスタンスが理想ですね。