NO IMAGE

ただの個人ブロガーが、6年目にして大手メディアで記事を書くようになった

個人ブログを始めたかなり初期の頃から「ライターになれば良いんじゃない?」と言われることはあった。

確かに「ブロガー」より「ライター」の方がお金を稼げるかもしれないし、響きもカッコ良くて、人にもちゃんとした職業として言いやすい。それは魅力ではあるけれど、両者は似ていて全く違うものだ。

私は文章が書きたくて記事を書いているというより、私の経験やオーストラリアのことを紹介したくて、自分の作品のような感覚でブログをやってきたのだ。

だから「他人の媒体で他人に指定された記事を書くなんてナンセンス。私がしたいのはそんなことではないんだ!」と、ずっとそう思っていた。

そんな私が2年前に日本の大手ガイドブック・ウェブ版のオーストラリア特派員として記事を書き始め、それが巡り巡って最近ではオーストラリア最大の日本語メディアにも記事を書かせてもらえるようになった。

そこにはどんな経緯や心境の変化があったのか、記憶が薄れる前にここに書き残しておきたい。

 

大手メディアだからこそ受けられた恩恵

ブロガーもライターも、基本的には個人でコツコツ記事を書くものだと思うが、オーストラリアの大手メディアともなれば、編集部の方はもちろん、色んな人が関わってくる。

特に今回は、結果的に日本から来られた方とのやりとりをさせてもらうことになり、初めての経験で戸惑いや緊張もあった。

だが、オーストラリアの有名アーティストなどにも触れる機会に圧倒されながらも、多くの人の思いや考えを汲み取ってひとつの記事にする作業も楽しいと感じる機会を得た。

いや、もちろんプレッシャーであることは間違いないし、私の文章力や知識の足りない部分が露呈されるのが恥ずかしくて申し訳ないと思う面もあるのだが、大手メディアだからこそ来る案件なので、貴重な経験をさせてもらえたことにとても感謝している。

きっと、これらの経験が私のライフワークである個人ブログにも相乗効果をもたらし、良い影響を受けるだろう。

チャンスを逃すと次はない気がする

私はただの個人ブロガーなので、過去に大きなイベントを直接取材したり、誰かのインタービューをしたりなどの経験がなかった。

だから声を掛けてくれるのは嬉しい反面、毎回高いハードルのように感じる。

でも「私に出来ると思われているから声を掛けてもらえているんだ」と思い、思い切って受けてみる。とりあえずまだ4回目だが、断ったことはない。

そして完了すると、大変ではあるが「今の私でもちゃんと乗り越えられるんだなあ」と分かり、やって良かったと思う。(最後の案件はまだ完全には完了していないが)

「この件、受けても受けなくても大丈夫ですよ、任せます」という感じで声を掛けてもらえるのも、私には理想的で助かる。

豪大手メディアで書くようになったきっかけ

昨年の終わり頃から大手メディアさんから声が掛かるようになった。

そのきっかけは、人からの紹介だ。

最初は、日本のガイドブック・ウェブ版関連で出会った人から何度か個人的にイベントに声を掛けられていて、誘われたら極力行くようにしていた。

でも、あまりにもローカル過ぎる内容を日本のガイドブックサイトに載せてもペルソナが合わないので、それは申し訳ないが私の個人ブログにまとめるしかなかった。

そんなことを何度か続けていたら、ある日「あそこの大手メディア、忙しくて取材に来れないと言われることも多いから、あなたが行けば良いと思う。紹介しても良い?」という連絡が来たのだ。

あまりにも突然来た話だったので多少面食らったが、「じゃあ、考えておいて」と電話を切ろうとした彼女に「お願いします」と咄嗟に言ったのは、正解だったと思う。

「そうは言ったけど、私どうしたいんだろう?」と思いつつも、緊張しながらお会いした大手メディアのトップの方はとても良い方で、現在のようにたまに記事案件の声を掛けてくれる。

 

この話が来たのも、その1年前に日本の大手ガイドブック・ウェブ版で記事を書き始めたからに他ならない。

日本のガイドブック・ウェブ版に記事を書こうを思った理由

冒頭でも書いたように、私は長年ライターになることは考えられなかった。

そんな私が日本のガイドブック・ウェブ版に記事を書き始めた理由は、「ここなら喜んで!」という気持ちになったからだ。

 

2年前、個人ブログだけでは弱くて悔しい思いをしたことが数回あった。

だから、少しはライター経験をした方が良いのかもと思い色々検索してみてみたが、やはり書きたいと思えるサイトはなく、どうしても気が乗らない。(人のサイトに書く労力があるなら、自分のブログを充実させたいと思ってしまう)

だが諦めかけた時、唯一「ここなら書きたい!」と思うサイトが出て来た。それがそのガイドブックのウェブ版だ。

このガイドブックは私がオーストラリアに来ることになってからずっととてもお世話になっていた旅行のバイブルでもあり、私が個人ブログを書くにあたって理想的なモデルとして参考にもしているのだ。(私が参考にしているのは有名ブロガーとかではなく、ガイドブックなのだw だって、目標にしたい人がいないから)

しかもここは、ある程度の更新頻度や内容に規定はあるものの、ルールを守れば自由に書かせてもらえる。それが魅力だった。

そして、この会社のネームバリューは想像以上にすごかった。

これが個人ブログと大手の違い

このサイトで記事を書くようになってから、色んな人から手放しに「すごい!」と言われるのでびっくり。

個人ブログの方が下調べをしっかりして時間がかかっている記事が多く、サイト自体も自分で工夫して作っているのに、「誰にでも出来るただの個人ブログでしょ?趣味でやってて良いね」という扱いなのは珍しくない。

なのに、日本から来る旅行者に向けてサラッと読みやすく書いた記事の方がリスペクトされるのは、私からすれば謎な感覚だ。

しかし、もともとの狙いが他社のネームバリューで私のブログもハクがつけばというものだったので、想像以上に上手くいったと言える。お陰で個人ブログでは来ない話が来るようになった。

そのサイトで記事を書くようになって1年が経った頃、NSW州立美術館の日本語ガイドをしている方から連絡があり、それをきっかけにして数珠繋ぎのように国立美術学校やメイ・ギブスのナットコートも取材させてもらえるに至った。

個人的にオーストラリアのアートについてお話をしてくださる人までいて感激したし、「メディアの人間」としてちゃんとしたオーストラリアの機関で紹介されるのも初めてだったし、メディア用の画像があることを初めて知った。

もう堂々と「ライターもしてます!」と言える

変な話だけど、ブログが私のいちばんの優先順位だと言いつつ、職業を聞かれた時に「ブロガー」と答えるのは恥ずかしいので、「トラベルライター」と答えていた。(嘘ではない)

でも、ちょっと前までは「ライター」と名乗るのはおこがましいという気持ちもあったが、今は堂々とライターである。

つい先日、何とこの私が、アーティスト展のメディアリリース(メディア向けお披露目会)の登録もした。そういう登録をするという考えはなかったのだが親切に教えてくれる人がいて、大手ガイドブックに記事を書いているとそういうことも出来るのかと思った。

来週行く念願のオペラハウス内部見学も、そのことを記事にしたいとオペラハウスのメディア担当の人に許可をもらったが、このプロセスも、アクセスが少ない個人ブログでは躊躇して出来ないところだ。

そう、個人ブログではグレーで書いて良いか分からない内容も、大手ならちゃんと許可を取って書ける。

 

この間、シドニーに住むオージー女性に「ジャーナリスト」と名乗った方が良いのでは?と言われたが、それは敷居が高過ぎるし、私が目指しているものとは外れてしまう。

「ブロガー」と名乗るのはちょっと恥ずかしいと言いつつ、社会的に格下と見られたとしても私のメインは個人ブログだ。まあ、いずれはライターさんを雇う未来が来るかもしれないが、とにかく今はブログがいちばん大切。

ブロガーやライターも接客業でしょ!

最近、なぜか成り行きで四柱推命の鑑定も受けたのだけど、接客業やセールスに適性があるとも言われて、それも何となく分かっていた。

ブログも接客業だからね。

でもそれで分かったのは、やはりブログは手段のひとつ。多分だけど、ブログを軸に色々やるのかなって思う。だから、今後はそれに向けてさらに頑張ろうと思う。

動く仕事じゃないと出来ないのも自分でもずっと言ってたことだし、だから私は家に閉じこもってカタカタとキーボードだけ叩いていれば良いブロガーではない。

外に出て、色んなものを見て、色んな人に会い、色んな経験をするのだ。

あと、それぞれ読者や性質の違うサイトで書いているので、同じ内容でも書き分けが必要で、それも楽しんでいる。

エピローグ

今まで個人ブログをもとにして、色んな分野で活躍するようになった人をそれなりに見てきた。

私はと言えば、サイトを増やすなど自分のサイトでの変化や出会いは色々あったが、あくまでも個人レベルであり、6年目くらいまで「このままこれでずっとやっているのかも」と思っていた。

でも私には「最低でも10年ブログを続けて、オーストラリアのガイドブックを作る」という目標がある。ブレている暇はない!

そんな気持ちだったのに、人生は分からないものだ。

個人ブログでコツコツと記事を更新し続けたので、今がある。

5年前に書いた記事を読み返すと文章がひどくて泣きたくなるが、ということはそれに気付けるくらい成長したということでもある。

 

今年に入ってから大手メディアさんの声が掛からないので、正直「もう忘れられたのかも?あれは知り合いに紹介された義理があったから私に振ってくれただけだったのかも」と思っていた。

それならそれで今まで通りコツコツやるだけだし、実際、今年から自分で「シドニーの郊外を歩こうプロジェクト」というのを始めたので、忙しかった。

そんな矢先に2件立て続けに声を掛けていただいて、嬉しい反面、新しい経験ばかりで緊張もあり、ここ3週間ほどインスタもアメブロも止まった。

そのうち慣れて要領をつかめてくるだろうか?

それは分からないが、とりあえずアートの勉強をもう少ししようと思っている。