パートナービザ (ディファクト) に英語力が必要になるらしい⁉︎それについて私が個人的に思う事

一昨日あたりからツイッターで「パートナービザ申請に英語力が必須になるらしい」という話題でざわついています。

英語…、英語ねえ…。

オーストラリアのビザ申請条件は年々厳しくなっていて、私が2012年に申請した頃よりかなりハードルが高くなって来ていますが、ついに英語力まで求められるようになったんですね。(現時点では詳しい詳細は分かってないそうです) 4.5程度ですって。

英語力について私の体験を思い出すと、あまり思い出したくない過去も色々あるのでちょっと躊躇しますが、良い機会かもしれないので私の意見を書いてみたいと思います。

ちなみに、私は IELTSアイエルツを受けた事はないですし、これはあくまでも個人的ないち意見だという事をふまえてどうぞ。

私は英語テスト、良いと思います

色々な思いや意見があると思いますが、私はパートナービザに英語が必須になっていた方が、後々楽なので賛成です。と言うのも、私が苦労したからです。

若ければ若いほど頭に入りやすいですし、気力もモチベーションも違うと思うんですよね。それに、必要に迫られないとわざわざ高いお金を払って自分で IELTS (勝手に IELTS と決めてますが) を受けたりしないでしょうし、最初にそれなりに英語を勉強をしておくのは良い事だと思います。

もっとも、どのくらいのレベルを求められるのか分かりませんが、そんなにびっくりするほど高くはないでしょう。

何よりも、英語は公用語なので最低限は出来ないと生活していく上で大変ですし、例えば今回のようなパンデミックの非常事態が起きた時、大切な情報が受け取れない可能性もありますからね。

とは言え、「ただ好きな人と一緒になりたいだけなのに…」という気持ちも分かりますし、バカ高い申請代 ($7000以上) や大変な書類集め、その上に英語となったら「これ以上まだあるの⁉︎」となってしまうのは仕方ないかもしれませんね。

パートナービザとビジネス・自力永住権組とは意識が違うのは当たり前

「えっ⁉︎ 今まで英語力必要なくてビザ取れてたの⁉︎自力で永住権を取った人たちはもっとお金と時間をかけてるよ!」という人もいるかと思いますが、自力永住権組とパートナービザではオーストラリアに住みたい理由が全然違いますから、それと比べるのはちょっと違うかなと思います。

実際に「パートナービザで永住権を取得した人は努力していない」というような趣旨をツイートしている人もいましたが、それって「私は親がお金を出してくれなかったから自力で働いて大学へ行った!みんな甘えてる」みたいな話で、人にはそれぞれ事情がありますし、言われた方としては「で?私たちにどうしろと?」となってしまうだけです。ビザのために苦労しながら努力している人は尊敬はしますが、それはその人の都合ですから。

パートナービザを取った人には「本当はオーストラリア残るつもりはなかったんだけどね…」という人も結構いるんですよね。

私もまさにそのパターンで、オーストラリアにワーホリに来ただけで残る気はなかったのに、パートナーに出会ってしまう人もたくさんいるわけです。これはご縁なのでね…。

中にはビザ目的でパートナーを探して、永住権を取ったら別れるなんていう人もいますが、本来パートナーって予期してない時に現れるものでしょう?

だから、全く英語の準備をしてない人だってたくさんいるでしょうし、そりゃ焦る人がいるのは仕方ないと思います。

英語が出来なくてもオーストラリアに住める?

「英語がしゃべれないのにどうやって生活するつもりだ」とか「子供を育てるのにどうコミュニケーションを取るつもりなのか」とかそういう意見もあるかと思いますが、実際、英語が出来なくても普通にオーストラリアに住んでいる人は、日本人に限らず普通に山ほどいます。同じ言語を話す人たちのコミュニティにいれば問題なく生活できてしまいますからね。

ただ、ツイッターを見ていても日本人は結構そういう人には冷たい印象がありますね。

でも、私の知り合いの旦那さんのお母さんは英語が全くしゃべれないそうですが、息子は優秀でバリバリ仕事をしていて、そういうご家庭もあるので、事情も知らない他人が人様の家庭についてあれこれ言うのはちょっといかがなものかとは思います。

まあとりあえず、仕事も選ばなければ見付かるでしょうし、全然生活出来ます。行動がかなり限定されますが。

コミュニケーション能力は別もの

「英語がしゃべれないのにどうやってパートナーとコミュニケーションをとってるんだろう?」というつぶやきも見掛けるのですが、片方が英語が全然しゃべれないカップルをたくさん見て来て私が思うのは、英語力とコミュニケーション能力は別ものだよなあ〜という事です。

しゃべれないのに好かれて友達がたくさんいる人っているじゃないですか。

パートナーシップも少し似ていて、理屈じゃなく心が通じ合う人は存在します。(とはいえ、見た目や条件に惹かれてと言う人もいるので人それぞれですよ?)

私も昔、パートナのお母さんと二人で船旅に行った事があるのですが、言葉が通じない方が楽に仲良くなれる事もあるんだなあ!という体験をしました。

300人ほどの船客の中で日本人は私ひとり。周りは英語かフランス語を話す人ばかりでした。

私のような中途半端な英語力だと、初対面でも盛り上がり雑談をする彼らを目の前にした時、会話にうまく入らなきゃとか何を話そうかとかいろいろ考えて気疲れしてしまいました。が、逆にフランス語は全然わからないので、そういう人たちとはハイタッチとかジェスチャーとかですんなり仲良くなれたんです。

まあね、深い話はできませんし、目の前で悪口を言われたとしても気付きませんけど。

「英語が出来なくても友達は出来る‼︎」と豪語している人がいるのはこういう事でしょう。

だから、友人関係やパートナーシップに英語力は絶対に不可欠とは言えないと思います。言葉を発しない猫とも友達になれますしね?(笑)

 

それでも英語は出来るに越した事はない

とは言え、ずっとオーストラリアに住むわけですから、公用語の英語が出来た方が良いのは言うまでもありません。

特に長く住んでいると、学校に行きたくなったり資格を取りたくなったりする人も多いでしょう。この国の女性は基本的に専業主婦よりも働いている人が多いですし、何歳になっても学校に行きますから。

私は語学学校には何度か通ったものの、ちゃんとレポートの書き方などを学んだ事がなかったので結構苦労しました。

一部中国語で授業を受けれる場所もあるようですが、基本全部英語ですからね。

無料で英語が習えるAMEPプログラムがあるから大丈夫?

ところで、パートナービザで永住権を取った人は AMEP (Adult Migrant English Program) という移民向けの英語プログラムで510時間の無料授業が受けられる事になっています。(自分で気付いて申請しないといけませんし、ビジネスビザの人は参加出来ません)

でも、もし英語力ゼロから始めたら510時間なんてとても足りませんよね。実際しゃべれないまま卒業する人もいるそうです。

※ 10月8日の発表で、510時間ではなく無制限になるそうです。

私も2013年とちょっと昔ですが、そのクラスに通い、その後更に職業訓練的なクラスにも行かせてもらいました。

AMEP のクラスはざっくり3クラスにレベル分けされていて、幸い私は上のレベルに振り分けられたので本当に良かったと思います。上のクラスに行けば行くほどクラスメイトが多国籍になり、授業内容もプレゼンテーションや討論など中身が濃くなるのは、普通の語学学校でも一緒でしょう。

下のクラスの人たちは本当に意思疎通が難しいくらい英語がしゃべれないですし、ほぼ中国系の人たちばかりです。せっかく移民である事前提でオーストラリアで生きていくための知識なども教えてもらえるのに、三人称単数や Be 動詞などからやってたらもったいないと思うんですよね。

それにあまり知られてないのですが、AMEP で条件を満たせば次のステップで Settlement Language Pathway to Employment / Training Program (SLPET) という職業訓練コースに行けるので、絶対ある程度しゃべれた方が良いです。

(詳しくは https://www.navitas-english.com.au/ へ)

職業訓練クラスはまあ辛い事もあった

職業訓練コースというのは、もっと具体的に自分が就きたい分野の仕事について3カ月間みっちり訓練が受けれるコースで、受講条件は AMEP で上のクラスならいつでも編入可能、それ以外の人はクラスを決められた時間受講すれば通えるという条件。なので、クラスメイトはペラペラの人もいれば先生の言う事がほとんど理解できない人もいてかなりばらつきがありました。

私は最終的にカスタマーサービスのクラスを選び、20人ほどのそのクラスで仕事を得るための面接の練習、履歴書の書き方、電話対応のロールプレイ、実際の現場実習までみっちり週5の授業。こんなに手厚いんだとびっくりしました。仕事もしていたのでちょっときつかったですけどね。

その時日本人は私だけで、みんなだいたい同じ国の人と結婚していて、働いていたのも私ひとり。しかもオーストラリアに来て7年目でこのコースを受講する人はかなり珍しい存在でした。

私は2年ワーキングホリデーでオーストラリアに滞在した後、ニュージーランドに9か月滞在、それからオーストラリアに戻って学生という経緯があったので、永住権を取るのが遅かったんですよね。

ものすごく悔しかった思い出

先生はおそらく就職を前提とした授業だったのでわざと厳しくしていたところもあったのだと思うのですが、結構生徒にビシバシ厳し目の対応で、今まで知っていた語学学校の先生とはちょっと違いました。

でも、その先生に「そのレベルで7年もオーストとラリアにいるなんて信じられない」と言われた時は、サーっと血の気が引いて一晩泣きました。私なりに一生懸命生きて来た生活を全部否定された気がして。私、大概の事なら会話は普通に出来るしそんなに酷いとは思ってなかったんですよ…。

仕事も責任あるポジションを任されていて結構ハードに働いていたのですが、日本食レストランというだけで先生やクラスメイトから「ああ…」みたいなバカにされたような反応をされ、それもかなり腹が立ちました。

「私は旦那さんに養ってもらえる身分じゃないから働かないと生活ができないんだよ!それに、あなたたちは絶対に私のように大勢のお客さんをさばけないクセに‼︎ 」と心の中で悪態をついてましたが、口には出しませんでしたけど (笑)

まあ先生も良い人で、悔しすぎて苦情のメールをしたら特別課題を出してくれて、先生の時間を削って添削してくれたりもしましたし、実習で褒められて仕事のオファーも一応いただいたので、結果的に良かったのですが。色々あって、その仕事はしませんでしたけどね。

そんな経験もあるので、もっと早く自分の英語力を可視化出来る英語テストを受ける機会があったら良かったなあ…と。

人は追い込まれないとなかなか勉強しない気がする

そういう経験があり、オーストラリア人とちゃんと張り合えるような手に職を付けたいと考えました。語学ではネイティブには叶わないので何が技術職。

それで、当時需要がどんどん増えてきていたマッサージのプロになろうと TAFE (政府の運営する職業訓練校) に行きました。

ただ驚いたのは、インターナショナルの生徒以外は英語力は問われず入学出来たんですよね。だから、クラスメイトの中には全く英語のできない人たちもちらほらいて、中には先生が「授業中は携帯電話を切っておくように」と注意しても、それが理解できない人もいたんです。

でも、それで現地に人たちも受ける授業について行けるわけはなく、いちばん多かった中国人の人たちは、だんだん1人減り2人減り、半年後に試験をパスした生徒は2人だけでした。

私も慣れない解剖生理学の専門用語を英語で学ぶので大変だったものの、何とかパス。でも、専門用語は覚えれば良い話ですが、レポートが苦痛でしたね。うちのパートナーに文章チェックしてもらうとめちゃくちゃイラつかれたしw

とりあえず、あの時は本当によく勉強したと思います。TAFE は同じ資格を私立の学校で勉強している人たちと比べても、求められるレベルがかなり高かったですしね。

あれは「試験に落ちたら困る」「資格を取りたい!」と強く思い、追い込まれたので出来たんだと思います。ひとりではなかなか…ね。

ただし、英語力があっても落ちてる落ちてる人はパラパラいたという事は付け加えておきます。

この同じコースをこれで2回目、3回目と受けている強者のクラスメイトも何人かいて、当たり前ですが英語力だけあっても勉強しなければ試験は落とされます。

おわりに

政府はお金を搾り取ろうとしているとか、英語がしゃべれない人たちを締め出そうとしているとか言う人もいますが、私は最初からテストがあれば、後であそこまで苦労したりしなくても済んだかもしれないな…なんて思ったのでこんな意見になりました。

とは言え、自分の時にこんな条件が付けられたら、私はオーストラリアに残ったかな?とも思います。日本に帰ればすぐに就職できるような資格も持ってましたからね。

そもそも、私の時はビザの申請代 $3000 プラス健康診断代でしたが、それだってきつかったので今なら残れてなかったと思います。全ては運やタイミングも関係しますよね。

ああ、そういう事なら心配なさそうかも。

うーん、でも私も今からアイエルツ受けようかな…。

数年前にビジネスビザも英語力が必須になって、ビザの更新が出来ずに結局帰国してしまった人を思い出します。ある程度歳を取ってから日本に帰国だと大変な事も多そうですし、安心してる私もいつ同じ状況になるか分かりませんね。